今回は過去に3ヶ所の山小屋バイトを経験した筆者が、山小屋バイトを検討中の人に向けて、気になる25個の質問に答えます。
山小屋によって答えが変わるものは、それぞれの山小屋での体験を元に書いていくので、山小屋バイト選びの参考にもなります。
山小屋バイトは一日の拘束時間も長いし、お風呂が毎日入れなかったり、山の上という特殊な環境のため、アルバイト初心者にはかなりハードルが高いです。
山小屋以外のリゾートバイトにも興味がある人はこちらの記事をチェック
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私も旅やリゾバで楽しい経験をたくさんしてきたので、同じように素敵な経験できる人が増えたら嬉しいなと思っています。(相談実績300人以上。もちろん無料です。笑)
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- 働いた山小屋の概要
- Q1:山小屋の仕事ってどんな感じ?
- Q2:体力的にきつい?つらかった仕事は何がある?
- Q3:精神的につらいこともあるの?
- Q4:どんな人が山小屋バイトに来るの?
- Q5:登山初心者や全く登山したことない人でも働ける?
- Q6:人間関係ってどう?喧嘩とかあるの?
- Q7:出会いはある?山小屋の恋愛事情は?
- Q8:他の山小屋とも交流はあるの?
- Q9:山小屋バイトの見つけ方、応募方法は?
- Q10:山小屋は稼げるって聞いたけど、実際いくら貯まった?
- Q11:一年中働ける山小屋もあるの?
- Q12:休憩時間はどれくらいある?みんな何してるの?
- Q13:山小屋バイトの食事ってどんな感じ?
- Q14:お風呂は毎日入れるの?
- Q15:洗濯や洗濯物干すときはどうするの?
- Q16:水場のない山小屋はどうしてるの?
- Q17:スタッフ部屋ってどんな感じ?プライバシーはある?
- Q18:通いで働くことも可能なの?
- Q19:休日はどれくらいある?みんな何してた?
- Q20:ケータイは繋がる?ケータイ繋がらなくて嫌じゃない?
- Q21:持って行った方が良いものは?
- Q22:これはいらないってものは?
- Q23:熊や野生動物が襲ってくることはない?
- Q24:山小屋バイトして一番良かったことは?
- Q25:思い出に残っているエピソードは?
働いた山小屋の概要
表は横にスクロールして見れます👆
山小屋A 北アルプス裏銀座エリア | 山小屋B 北アルプス劔岳エリア | 山小屋C 南アルプス北岳エリア | |
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収容人数 | 150人 | 160人 | 150人 |
テント場 | 100張 | なし | 40張 |
スタッフ人数 (小屋番=経営者) | 16人 | 9人+(小屋番3人) | 10人+(小屋番2人) |
営業期間 | 7月中旬~10月中旬 | 7月中旬~10月上旬 | 6月中旬~11月上旬 |
働いた期間 | 7月下旬~9月下旬 | 7月中旬~9月末 | 7月頭~9月末 |
Q1:山小屋の仕事ってどんな感じ?
山小屋の普段の仕事内容は、簡単に言えば旅館業と同じで、登山者に食事と寝る場所を提供することです。
それが山の上という特殊な場所にあるために、水の確保や登山道の整備、ヘリの荷揚げ、場合によっては遭難者の救護などが加わります。
仕事内容・一日の流れについては、コチラの記事で詳しく紹介しています。
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良いことばかりではなく、イマイチな点もかなり正直に書いているので、ぜひ読んでみてください。
Q2:体力的にきつい?つらかった仕事は何がある?
繁忙期の土日、お盆などの連休は、正直かなりきついです!
「これって何時間労働なんだろう…時給は…」なんて冷静に考えてはいけません!笑
山小屋に試供品として配られていた「アミノバイタル」みたいなやつを、一番忙しくなる夕食提供前に飲んでおくと元気が出ると言って、半ば中毒のように毎日飲んでいるやついたな…あ、私のことか。笑
歩荷や雪渓カット(登山道整備)、ヘリの荷揚げ時に山小屋へ荷物を運び入れる、などの作業が体力的にきつい部類に入ると思いますが、私は割と筋力はある方だったので、その辺は平気でした。
それよりも、繁忙期はとにかく睡眠不足で、朝起きるのが一番つらかったです。
Q3:精神的につらいこともあるの?
すかーんと晴れた青空の日に、ひたすら薄暗い山小屋の中で仕込みを続けるのは、登山好きとしてはかなり精神的に堪えました。
一日の拘束時間が長く、しかも仕事が終わったらもうほとんど寝る時間。
気晴らしにどこか遊びに行くという事も出来ないので、自分なりにうまくストレス解消法を作っておかないと段々しんどくなってくると思います。
私の場合は、ヨガ&瞑想をしたり、岩の上に寝そべって星空を眺めながら音楽を聴く時間が最高の癒し時間でした。
Q4:どんな人が山小屋バイトに来るの?
夏休み中の大学生から、年金をもらっている年配の方まで、本当に様々な人が山小屋バイトに来ます。
前職は政府関係のかなりお堅い仕事をしていたけれど、息抜きで登山をしてみたらはまってしまって、仕事を辞めてそれからずっと山小屋中心の人生になったという人もいました。
ふだんは専業主婦で子供が夏休みの期間だけ山小屋で働く人とか、自営業の設計士で夏だけは仕事を入れずに山小屋で働く人とか。
登山はほとんどしないけれど、山小屋での生活が好きでバイトに来るという人も実は結構多いです。
Q5:登山初心者や全く登山したことない人でも働ける?
私は採用側になったことはないのではっきりとは言えませんが、登山初心者でも、働く山小屋まで自分で歩いて行ける人なら、初心者だからという理由で断られることはまずないと思います。
全く登山をしたことがない人でも、登山口付近(ほぼフラットな道を1時間以内)の山小屋なら問題ないでしょう。
中には、荷揚げのタイミングに合えばヘリで入山させてくれる山小屋もありますが、そのあたりは採用側との交渉次第でなんとも言えません。
立山の室堂、白馬の栂池、八ヶ岳の縞枯、高峰高原など、車やロープウェーでアクセス出来る山小屋もたくさんあるので、そういう山小屋なら登山未経験者でも問題ないと思います。
Q6:人間関係ってどう?喧嘩とかあるの?
山小屋での生活は、朝起きてから夜寝るまで(寝る部屋も一緒が多い)、ほぼ一日中一緒に働きながら暮らしているので、仲良くなるのも早いですが、時には喧嘩も起こります。
私が実際に目にした喧嘩の例をいくつか挙げてみます。
30代女性 VS 30代女性
中期スタッフだった私が入山したときにはすでに2人は険悪ムードで、2人の間だけやたらきつい言葉が飛び交っていて、いったい何事かと思いました。
この2人は共に長期スタッフとして入山していましたが、片方はリピーターだったので、ある程度仕事の流れを知ってるスタッフでした。
他のスタッフにさりげなく事情を聞いてみると、リピーターの仕事の教え方や指示の出し方が偉そうでムカついたそうな…。(そんなことで!?)
リピーターの方が微妙に年下だったという事も関係しているのかも知れません。
男女のスタッフルームは分けれらているので、詳しくは知りませんが、就寝時のスタッフルーム内でも相当なバトルが繰り広げられていたらしいです…。(怖い…)
話し合いでは解決せず、他のスタッフにこれ以上影響が出るのも困るということで、最終的には、小屋番がリピーターを残すことを決定して、もう片方のスタッフを強制解雇する形で幕を閉じました。
去り際に思いっきりビンタをかましていったそうです。
30代男性 VS 30代男性
こちらもまた30代同士で、さらにリピーターVS1年目のスタッフのバトルです。
いきなりリピーターが1年目のスタッフに突っかかっていって、今回は男同士という事もあり、あわや殴り合いの大惨事でした。
ついさっきまで笑って談笑していたのに急にどうした?!とびっくりしました。
小屋番が間に入って事情を聞き、「どっちも悪い!お互いに謝れ!」と強制和解させることに成功。
後でこっそり他のスタッフに話を聞いてみると、どうもリピーターは仕事中にも隠れてお酒を飲んだりして、気分の浮き沈みが激しく、こういう風にいきなり突っかかってくるのは今回が初めてではなかったとのこと。(マジか…)
おそらく小屋番から個人的に注意を受けたと思われるリピーターは、その後はたぶんもう仕事中にはお酒を飲むことなく、少なくとも私のバイト期間終了まではスタッフ間の仲は平和に保たれました。
小屋番 VS スタッフ
入山した初日の夕食から、なんだこの雰囲気は?!と驚きました。
山小屋バイトの醍醐味のひとつである、楽しい会話が繰り広げられる夕食時に、スタッフが誰も口を開こうとせず、小屋番だけが延々と自分の過去の自慢や、山小屋スタッフの失敗を嘲るように話していて、私は血の気が引きました。
「マジか…。私としたことが、これは山小屋選び失敗したかも」と本気で思いました。
先に入山していたリピーターのスタッフに話を聞くと、どうやら初めのころはそんなことはなく、みんなで楽しくやっていたらしいのです。
しかし、今年は1年目ながら長期で入ったスタッフが多く、なかなか仕事を覚えられなかったり、真剣みに欠けるような素振りが見られたりして、徐々に小屋番の当たりが厳しくなっていったとのこと。
実はその長期の1年目のスタッフの中には私の友人もいたので、直に話を聞いてみることに。
すると、「もう限界…」と言って友人はいきなり泣き始めました。
おいおいどうした?!
私が知る限り、その友人はすごく仕事熱心だし、以前の職場では接客業の社内コンテストで表彰されたこともあり、山小屋でのバイトにはうってつけの人材だと思っていました。
「で、何があったの?」と私が聞くと、「小さなミス(布団の畳み方が違う、スリッパの置き方が違う等)が重なった日があって、突然『何回やったら覚えるんだ!!』って怒鳴られた」と言う。
「それまでのずっとにこにことした態度から急変したからびっくりしちゃって。でもそれからは、それまで言われなかったような些細なことも頭ごなしに怒鳴られて、やり直したらやり直したでなんで初めからきちんとやらないんだとか、そうじゃない!間違ってる!って怒鳴られて、もう怖くて何も自分から出来なくなっちゃったし、やらなかったらやらなかったでまた怒鳴られるし、もう限界…」
ふうむ…。どうしたものか、と私は考えました。
私はその時でもすでに40を超える職場で働いてきた経験があるので、上がそういう人間ならと、私自身はそれなりのやり方で対処できますが、友人はそれほど多くの職場経験がなく、うまく立ち回れない様子。
元々山小屋バイトを薦めたのが自分だということもあり、なんとかしないといけないなと思いました。
山小屋の雰囲気が悪ければ、登山客にも影響が出るし、もちろん私自身も楽しくないのは嫌です。
しばらく現状を見極めるために様子を見て、その後小屋番に直接話をしました。
「毎年毎年、色んな個性を持ったスタッフがやってきて、それをまとめ上げる小屋番の大変さも分かりますが、今みたいに恐怖で押さえ付けてなんとかしようとするやり方は逆効果だと思います」
「確かにあのスタッフは小さなミスが多いかも知れませんが、その代わり、持ち前の明るい雰囲気は登山客にはとても良い印象を与えていたはずです」
「それが今では毎日泣いて、腫れぼったい目で、笑顔もぎこちなく、いつもびくびくしていて、もったいないと思います」
「別に小屋番がすべてに目を光らせて口を出さなくても、ミスが出ないようにスタッフ間で協力し合える仕組みを作れるように話し合うんで、しばらく様子を見ててもらえませんか?」
とか、そんなことを言ったような気がします。
私の言葉が効いたのかどうかは分かりませんが、徐々に雰囲気は回復していき、とりあえず途中リタイアはしないで済みました。
長くなってしまいましたが、山小屋だろうと、どこだろうと、人間関係のいざこざは常に私たちに付きまとう問題のようです。
Q7:出会いはある?山小屋の恋愛事情は?
実際に私が働いていた山小屋でも、スタッフ同士が働いているうちにカップルになったり、バイト期間終了後に付き合うことになった人たちがいます。
私の友人は、山小屋バイト期間中の2ヶ月弱の間に、合計3人からアプローチを受けたと言っていました。モテすぎだろ!笑
下界に恋人がいると言っていたはずなのに、山の上で別の恋人を作って帰っていったという話も聞いたことがありますし、やはり特殊な環境下で、共に頑張る仲間、さらに同じ山好きということも相まって、男女間の仲も急接近しやすいのかもしれません。
Q8:他の山小屋とも交流はあるの?
近くの山小屋間では、常に無線が繋がっており、互いに情報を共有しています。
「待ち合わせしているはずの連れがまだ来てなくて心配している登山者がいるんだが、前日そちらに泊ったはずの○○さんのその後の行動はどうなってる?」
「かなり疲れた様子で登山道にうずくまっている登山者を見かけたという人がいて、声をかけてみるとそちらの山小屋に行くと言っていたらしいんだが、それらしい人は着いているだろうか?」
など、ふだんは登山者の動向に関する情報共有がメインとなっています。
私が最初に働いた山小屋は系列展開している山小屋だったので、足りない食材の貸し借りや、スタッフがそちらに遊びに行くから泊めてやって欲しいなんてことも、よくありました。
Q9:山小屋バイトの見つけ方、応募方法は?
私が初めて山小屋バイトをした当時は、今のようにネットで山小屋の情報を調べて応募するような時代ではなかったので、「山と渓谷」の後ろの方にあるバイト募集の広告を見て、電話で問い合わせました。
今ではほとんど以下の2つのサイトのどちらかを使って応募するのが一般的です。
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山小屋アルバイトインクノット – 山小屋情報・山小屋アルバイト情報サイト (inkknot.com)
山好きのための登山情報サイト – ヤマケイオンライン / 山と溪谷社 (yamakei-online.com)
インクノットが山小屋バイトに特化しているのに対して、ヤマケイの方ではその他の山に関係のある仕事(グリーンパトロールや登山ライターなど)の求人も探せます。
Q10:山小屋は稼げるって聞いたけど、実際いくら貯まった?
本記事の記録は、私が働いた当時のもので、だいたい月に20万円前後の貯金が出来ました。
※現在はほとんどの山小屋で日給がさらに高くなっているので、もっと稼げます!
基本的に山小屋で働いている間はお金を使う場所がないので、ほとんどの給料がそのまま貯まります。
が、ついついおやつを買ったり、ビールを飲んだりして散財してしまうこともあります。
休暇に山歩きをする人は、その分の食糧費、山小屋・キャンプ場代などもかかります。
山小屋A.北アルプス裏銀座エリア
貯金額:約370, 000円
日給:7,800円×2ヶ月(休日12日)
交通費:20,000円
-食費:1日500円、自分で売店で買ったおやつ、山歩きの食糧・キャンプ場代等
約8,000円
私は甘い物が大好きなので、山小屋で買うとめちゃくちゃ高いと知りながらも、ついつい売店でおやつを買ってしまいました。
山小屋B.北アルプス劔岳エリア
貯金額:約460,000円
日給:8000円×2ヶ月ちょっと(休日15日)
交通費:20,000円
食費不要
-荷揚げに合わせて買って送ってもらったおやつ、山歩きの食糧等
こちらの山小屋では、スタッフがリクエストした品物をスーパーで買ってきて荷揚げと一緒に送ってくれるという超嬉しいシステムがあったので、毎回2000円分ぐらいお菓子を頼んでいました。
ビールをケースで頼んでいる人もいたな。笑
山小屋C.南アルプス北岳エリア
貯金額:約620,000円
日給:8500円×3ヶ月(休日18日)
交通費:17,000円
食費不要
-下山して遊んだ金、山歩きの食糧・キャンプ場代等
この山小屋では途中でいったん下山して、海に行ったり街で遊んで息抜きをしたので、出費が多くなってしまいました。
Q11:一年中働ける山小屋もあるの?
山小屋バイトは夏だけというイメージがあるかもしれませんが、通年で営業している山小屋も割と多いので、一年中山に籠って働くことも可能です。
いきなり冬から働きたいという人は稀で、たいていは夏の山小屋バイト経験者が、そのまま残って冬も働くケースが多いです。
Q12:休憩時間はどれくらいある?みんな何してるの?
休憩時間は、暇な日と忙しい日で大きく変わります。
台風が近づいてきたりして、ほとんど登山客がいないような日は、軽く掃除して、あとは一日休憩みたいなものです。
静かな山小屋で過ごすゆったりとした時間は、山小屋バイトの醍醐味のひとつです。
みんなで談笑したり、じっくりと本を読んだり、次の休みの計画を立てたり、携帯ゲームをしたり。
中にはダイエットを兼ねて腹筋をしているスタッフもいました。
その代わり、繁忙期の土日や大型連休などは、午前と午後に10分ずつ休みが取れれば良い方で、お昼もかき込むようにして食べなくてはいけない日もあります。
仕事内容・一日の流れについては、コチラの記事で詳しく紹介しています。
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Q13:山小屋バイトの食事ってどんな感じ?
食事は思っていたよりもバリエーション豊かで、唐揚げ・コロッケなどの揚げ物から、チャーハン、麻婆豆腐、煮物、丼物、スパゲティなど、限られた食材、調味料の中で工夫を凝らして様々な料理を作りだします。
食事がスタッフで当番制になっている山小屋もあり、料理が苦手なスタッフは毎回何を作ろうか頭を悩ませていました。
一人一人の皿に盛りつけて配る山小屋もあれば、大皿をみんなで囲むスタイルの山小屋もありました。
Q14:お風呂は毎日入れるの?
山小屋A.北アルプス裏銀座エリア
4日に一度、日中の余裕のある時間帯を狙って、一人15分を目安に次々と入れ替わりで入っていきます。
小さな湯船もありましたが、ゆっくり浸かっている時間はないので、がしがしと洗ってすぐに出て、また仕事に戻ります。
私は揚げ物担当だったので、せっかく汗を流したのに、またすぐに汗と油にまみれることになりました。泣
山小屋B.北アルプス劔岳エリア
この山小屋は、登山客も使えるシャワーがあり、お風呂事情に関しては最高でした!
男性用だけで一度に3人が入れるので、それほど急ぐ必要もなく、ゆっくりと体を洗えます。
しかも、スタッフが全員シャワーを浴びた後に発電機を消すので、毎日仕事が終わった後、熱々のシャワーで全身をすっきりさせてから寝ることが出来ました。
温泉のある山小屋にはかないませんが、私が働いた山小屋では一番良かったです。
山小屋C.南アルプス北岳エリア
スタッフを2組に分けて、2日に一度ずつ交互に入っていきます。
だいたい30分目安だったので、山小屋Aよりはゆっくり入れますが、やはり日中に入るので、Bの山小屋よりは劣るかな、といった感じです。
ちなみにどの山小屋でも、特にこだわりが無ければ、スタッフ用のシャンプー、リンス、ボディーソープが常備されていたので、自分で持って行く必要はありませんでした。
富士山頂上の山小屋
私が直接働いたわけではありませんが、友人が働いた富士山頂上の山小屋では、期間中1度もお風呂に入れないどころか、顔ですら、少量の水を塗りたくってタオルで拭き取るだけだったと聞きました。
そんなの過酷すぎる…。泣
「山は身近に感じたい、でもお風呂に毎日入れないのは嫌」という人は、立山室堂や上高地のホテルで働くのもおすすめです。
Q15:洗濯や洗濯物干すときはどうするの?
山小屋にはスタッフ用の洗濯機があるので、仕事の合間を縫って、自分の好きなタイミングで洗濯出来ます。
まだ入る余裕があるなら、他のスタッフに「洗濯するけど、一緒に回すものありますか?」と聞いて、出来る限り回数を減らせる努力をします。
自分の洗濯物と他のスタッフの洗濯物がごちゃ混ぜにならないように、洗濯ネットを持って行くと便利です。
洗濯物を干すのは、主に登山者が雨具などを干す乾燥室か、発電機のあるボイラー室です。
たまに登山者が間違って持って行っちゃうこともあるので気を付けましょう。笑
Q16:水場のない山小屋はどうしてるの?
私が働いた山小屋では雪渓の雪解け水を利用していましたが、頂上付近の山小屋では水の確保が困難です。
雪渓が使えない山小屋では、雨水をタンクに貯めて、それを大事に大事に使っていきますが、雨水が足りなくなった場合には、ヘリで荷揚げしている販売用のペットボトルの水を使います。
販売用の水を使うと山小屋の売り上げに影響するし、もしヘリもうまく飛ばなかったら、スタッフが食べるご飯も作ることが出来なくなります。
設備投資、維持費が莫大にかかりますが、大日小屋や白馬山荘など、中には山小屋より下を流れる沢の水をポンプで汲み上げて使っている山小屋もあります。
山小屋の水は大切に使いましょ!
Q17:スタッフ部屋ってどんな感じ?プライバシーはある?
ほとんどの山小屋では、男女別の相部屋です。
私が働いた山小屋では、6畳ほどのスペースを4人で使うことが多かったです。
布団と布団の間にお互いの荷物で壁を作る感じにはなりますが、プライバシーなんてものは一切ありません。
同室のスタッフがいびきのうるさい人だと大変ですね。笑
数は多くありませんが、どうしても個室が良い人は、インクノットで個室ありの条件で探すことが出来るので活用してみてください。
Q18:通いで働くことも可能なの?
山小屋バイトは夜明け前から働きだすので、通いで働くのは現実的ではありません。
ほとんどの山小屋では泊まり込みで働くことが条件となっているはずです。
車で通える山小屋なら、もしかしたらそういう人もいるのかもしれませんが、私は聞いたことがありません。
以前働いたことのある山小屋に、住み込みで働く余裕はないけれど、登山がてらちょっとお手伝いに来るという人は結構多いです。
Q19:休日はどれくらいある?みんな何してた?
だいたい月に5日程度と、繁忙期が過ぎたらまとめて4~6日を順番に回していく山小屋が多いです。
ふだんの休日の過ごし方は、山を歩いたり、写真を撮ったり、本を読んだり、とにかく寝たり、人それぞれ。
みんな同じ日に休むわけにはいかないので、一人で出来る時間つぶしがあると良いです。
「休日はしっかり休め!」と言って、山が好きで山小屋バイトをしているスタッフに山歩きを自粛させるような変な山小屋もありました。
「山歩き中にもし怪我をして、仕事に支障が出たらどうする?」などと、もっともらしいことを言っていましたが、もちろん、私は従いませんでした。
給料の発生しない休日の過ごし方まで指図は受けません。
とは言え、繁忙期の休日は、みんな疲労が溜まってくるので、たいてい山小屋の周りを散策する程度で、遠くまで歩きに行く人は自然と少なくなってきます。
1ヶ月程度の短期スタッフには連休はありませんが、中期以上のスタッフは4~6日の連休があるので、息抜きに一旦下山する人が半分くらいいます。
海に行ったり、街で豪遊(?)したり、家族の顔を見に自宅に戻ったりしています。
Q20:ケータイは繋がる?ケータイ繋がらなくて嫌じゃない?
頂上付近の山小屋では、かなりの山小屋で電波が通じます!
が、私が働いた山小屋では、ある程度歩かないと電波が入らない山小屋が多かったです。
トレランついでに、「みんなのケータイを集めて、電波の良いところまで持って行って受信してくる」といったことをよくやった年もありました。
逆にケータイが繋がらないことで、下界のあれこれを気にせず、山小屋の生活に集中できるので良いと私は思います。
Q21:持って行った方が良いものは?
山小屋バイトの持ち物については以下の記事で詳しく解説しています。
今回はその中から、特に持って行って良かったものベスト3を紹介します。
ベスト3:延長コード
山小屋はコンセントの数が限られていて、しかも発電機を動かしている時間帯にしか充電できないため、非常に混み合います。
差込口のたくさんある延長コードを持って行くと、かなり重宝されます。
スマホにタブレットにデジカメにヘッドライト。スタッフそれぞれ充電したいものが集まると、すぐこんなことに。
日中にモバイルバッテリーにも充電しておくと夜も安心です。
ベスト2:保湿用品(ワセリン)
山の上はすごく乾燥します。
化粧水、乳液、ハンドクリーム、リップなど、お気に入りの保湿用品がある人はそれを。
私は風呂上がりの顔用化粧水以外は、ワセリン一個で全身に使いまわしていました。
ベスト1:ウェットティッシュ
お風呂のQ&Aでもお伝えしましたが、たいていの山小屋では毎日お風呂に入れないし、入ったあとの作業でまた汗をかくことも多いです。
そんなときに活躍するのがウェットティッシュです!
ペラペラの薄いものでは何枚も使わなくてはいけなくてめんどくさいので、しっかりと分厚いウェットティッシュを持って行きましょう。
Q22:これはいらないってものは?
こちらも<山小屋バイトの持ち物リスト。元山小屋スタッフが徹底解説>で紹介しているものの中から、3つピックアップして紹介します。
本
山小屋には大量に本があります!
やはり山関係の本が一番多いですが、普通の小説や、山小屋によっては漫画もたくさん置いてあります。
お洒落着
山小屋に持って行く服は、汚れても良い服を中心に選びましょう。
そしてデザインよりも、寒く無いかどうか、すぐ乾く素材かどうかが重要です。
化粧道具
山でも化粧をしたいと思う人もいるかもしれませんが、私の経験上、山小屋バイトでしっかりと化粧をしている人には会ったことがありません。
紫外線は平地より強いので、外に出る際は日焼け止めをしっかりと塗っておきましょう。
Q23:熊や野生動物が襲ってくることはない?
野生動物は本来すごく警戒心が強いので、人の気配のするところにはなかなか現れません。
遠目にそれっぽい姿を見かけたり、がさがさと草をかき分けて逃げていく音がして、何かいたのかな?と感じる程度です。
逆に山で見れたらすごく嬉しい、登山者に人気の野生動物を紹介します。
ライチョウ
ライチョウは主に高山のハイマツ帯に住んでいる鳥で、飛ぶことも出来るのですが、ふだんはとことこと歩いて移動しています。
丸く可愛らしい見た目で、登山者が来てもすぐには逃げず、写真にも撮りやすいので、大人気です。
冬には真っ白な羽毛に変わり、さらに可愛らしいくなります。
おこじょ
おこじょを見るのは、ライチョウほど簡単ではなく、私もまだ2回しか見たことがありません。
すばしっこくて、すぐ岩の隙間などに入り込んでしまうので、じっくりと観察している余裕はありません。
おこじょも冬は真っ白になり、さらに可愛さが増しますが、私はまだ写真でしか見たことがありません。
Q24:山小屋バイトして一番良かったことは?
色んな良さがあるので、一番を決めるのは難しいですが、敢えて一言で言うなら「より山が好きになった」ことです。
私はネパールのヒマラヤトレッキングで一気に山の魅力にはまりましたが、実は山小屋バイトをする前は、日本での登山経験はほとんど無かったので、山小屋という存在すら知りませんでした。
こんなに多くの人が登山を趣味にしていることも知りませんでしたし、山の上で住み込みで働いている人がいることも知りませんでした。
ネパールに行くまでは、山より海派の私でした。
山小屋バイトをしたことによって、日本の山事情に詳しくなったし、登るだけじゃなく働く側の視点を知ったことで、他の登山者の笑顔まで嬉しく感じるようになりました。
別に私の山でもないし、私が創り上げた風景なわけでもないのですが、何故か「ねえ?この山良いでしょう?」と誇らしげな気持ちになるのです。
Q25:思い出に残っているエピソードは?
南アルプスの北岳エリアで働いている時の話です。
無線で、「バットレス付近で遭難者がいるから救助に行って欲しい」との連絡が入りました。
男性スタッフ2名で現場に駆け付けると、報告では4名パーティーとの話だったのが、実際には15名の大遭難でした。
前のパーティーにつられてついて行ってしまい、気が付いたときには前にも後ろにも身動き取れないような崖っぷちに立っていたそうで、まだ若く体力のある人がなんとか下山して助けを呼んだのでした。
「げ、マジかよ…」と思いながらもう一人のスタッフを見ると、あちらも「これはやべえな…」という顔でこちらを見ていました。
2人だけじゃ対応しきれないので、すぐに山小屋に連絡を入れて、助っ人を呼ぶことに。
後から小屋番ともう一人のスタッフがやって来て、私と小屋番が残り、他のスタッフは自力で歩けそうな登山者を励ましながら山小屋まで連れて行きました。
滑落をして足を痛めてしまい、自力で歩けない登山者はヘリで下ろすことになったのですが、場所がよくないということで、雪渓を100mくらい滑り下ろす作戦に。
登山者をロープで縛り、救助隊と小屋番が上から吊って下ろすのですが、岩や溝に引っかからないように私が登山者を左右にずらしながら障害物をかわすよう指示されました。
こんな展開想像してなかったから、アイゼンも持ってきていないし、手袋もないんですけどー!汗
ずるずると滑り下ろしていると、登山者が「背中が擦れて痛い」と喚きだしました。
私は仕方なく登山者の背中と雪の隙間に手を差し入れて体を浮かせてやり、無理な体制のまま、滑る足元に注意しながらさらに下っていきます。
手の甲が雪に擦れてすぐに擦り剝け、真っ赤に染まっていきました。
それでも、手をどけたら登山者がまた「痛い、痛い」と喚くので、必死に我慢して滑り下ろしました。
こっちだってめちゃくちゃ痛いんじゃ―!泣
目的地まで着いても、ヘリはなかなかやってこなくて、安堵感と疲労と寒さでガタガタ震え出す登山者を「もう大丈夫だから」と励ましながら、暖めるために後ろから抱きしめてあげました。
滑落した登山者がヘリで連れて行かれても、まだ残っている登山者が5名もいます。
精根尽き果てたような顔で岩場に座り込んでいる登山者たちをなんとか立たせ、なだめたり励ましたり、時には怒鳴ったりしながら、なんとかかんとか山小屋まで連れて帰ったらもう真っ暗。
それでもとりあえず全員助かったんだなと思い、ほっと胸を撫でおろすと、「あれ?右手どうしたの?」とスタッフから言われ、「ああ、そういえば…」と右手を見てみると、まるでひどい火傷でもしたときのように、一面べろんと皮が捲れて血が滴っていました。
「あーあ、やっちまったなあ…」
山小屋を出る前に一瞬頭に過りながら、でも要らないかと思って手袋を置いていったことが悔やまれました。
まともに水仕事が出来なくなり、その後の山小屋業務で思いっきり戦力ダウンになってしまった私。
「救助で負った傷なんだし」「気にしないで治すのに専念して」などとみんな優しい言葉をかけてくれましたが、くそ忙しい繁忙期の真っ只中だっただけに、その後2週間ほどはすごく居心地の悪い思いをしました。
それからもう5年以上経ってますが、今でも残る右手の甲の傷跡を見るたびに、「登山は慎重に!」と自分にも言い聞かせています。
私は山小屋バイトも大好きですが、海や旅館でのリゾートバイトも大好きです。
その他のリゾートバイトにも興味がある人はこちらの記事もチェックしてみてください。
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