青森県むつ市の【霊場恐山】にある無料温泉についてご紹介します!
筆者が東北自転車旅の最中に寄った最後の温泉です。

温泉も景色も最高で、本当に素晴らしい体験でした。
日本三大霊場恐山
恐山は岐阜の白山、富山の立山と共に【日本三大霊場】のひとつとして知られています。
また、滋賀の比叡山・和歌山の高野山と共に【日本三大霊山】とも言われています。
さらには、以前【川原毛大湯滝】天然滝壺の秘湯体験記。秋田県湯沢市という記事でも紹介した、河原毛地獄、立山と共に【日本三大霊地】しての異名もあり、とにかく日本で有数の霊的スポットというわけです。
私は正直それほど信仰心は厚くはなく、お化けや幽霊の類にも縁がないので、この手の話を聞いてもあまりピンとこないのですが、神社やお寺の神聖な雰囲気は大好きです。

神や仏を信じてもいないくせに、その場所に立ち入るだけで心がすうっと静まっていくのは何故なのでしょう…。
恐山の無料温泉
恐山の無料温泉は恐山菩提寺の境内にあり、入山料(500円)を払った人なら誰でも自由に入浴ができます。
温泉は全部で4つあり、それぞれの湯の名前は以下の通りです。
- 薬師の湯(男湯)
- 滝の湯(女湯)
- 冷抜の湯(女湯)
- 花染の湯(混浴)
もともと恐山の温泉は、参拝に来た際に身を清めるために全員が入浴するという決まりがありました。

恐山菩提寺には宿坊もあり、宿泊客だけが入れる大浴場「御法の湯」があります。
前述の4つの温泉と合わせて薬湯五湯と呼ばれています。
恐山へのアクセス・駐車場
自動車
■有料道路下田百石I.C.より約2時間30分
■東北自動車道青森東I.C.より約2時間20分
下北半島西側を走る国道279号線を北上し、その後【恐山】の標識に従って進めばたどり着きます。
むつ市中心からは約25分です。
無料の駐車場があります。
台数は分かりませんが、そうとう広いので、停められなくなることはまずないと思います。
バス
JR大湊線下北駅からバスで約35分 810円(2024年8月現在)
時刻表→恐山線、他 (mutsu.lg.jp)
料金→fare_osorezansen.pdf (mutsu.lg.jp)
タクシー
約25分 およそ5,000円です。
恐山の基本情報
料金 | 入山料 大人500円 小学・中学生200円 |
営業時間 | 6:00~18:00 |
営業期間 | 5月1日~10月31日(これ以外の期間は閉山) |
構成・設備 | 内湯のみ 薬師の湯(男湯) 滝の湯(女湯) 冷抜の湯(女湯) 花染の湯(混浴) 石鹸等使用不可 鍵ロッカーなし 脱衣所・浴室一体型(仕切り無し) ドライヤーなし |
泉質 | 硫化水素含有酸性緑ばん泉 |
効果・効能 | 神経痛、リウマチ、胃腸病 |
住所 | 〒035-0021 青森県むつ市大字田名部字宇曽利山 |
電話番号 | 恐山寺務所 0175-22-3825 |
ホームページ | 恐山エリア | 下北ジオパーク|公式ホームページ |
恐山の入浴の流れ
1.恐山菩提寺に入るためのチケットを買って境内に入ります。

私が訪れたときにはいませんでしたが、恐山で有名なイタコの口寄せはこの辺りでやっているそうです。
イタコの口寄せについては松田広子さんのHPを載せておきます。
最後のイタコ~松田広子のホームページ

参道をまっすぐに進むと立派な山門があり、これをくぐった先に温泉があります。


右手に薬師の湯(男湯)、左手に滝の湯と冷抜の湯(女湯)が2つ並んでいます。
花染の湯(混浴)は少し離れていて、山門を抜けて右に曲がり、宿坊「吉祥閣」を通り過ぎた左前方にあります。

本当に境内に温泉があった!
お寺の中で温泉に入るなんて、すごく不思議な気持ち。
2.薬師の湯(男湯)に入ります。


小屋の入り口を開けると浴室まで丸見えなので、入室は手早く行いましょう。
この手のタイプの温泉には良くある造りですが、慣れていない人はいきなり浴室まで見えるので少しびっくりするかもしれません。
3.服を脱いで、いざ入浴
鍵ロッカーはないので、貴重品は車に置いてくるか、荷物の間に包んで目立たないようにします。
浴槽のお湯は相当熱いので、かけ湯で十分に体を慣らしてから入浴してください。
先客がいたら、加水しても良いか尋ねてから、自分に合った温度に調節すると良いでしょう。
お湯はほんのり青白く、透き通っていて綺麗です。
湯の花が豊富で、浴槽に入るとふわりと舞い上がります。
硫黄の香りが強烈で、【酸ヶ湯】などと同様、入ると肌がぴりぴりとします。
脱衣場に「硫黄が強いため入浴は3~10分程度で長湯しないで下さい」と注意書きがしてあります。
換気をしないと中毒になってしまうので、窓は常に開いたままです。
時折、中の様子が気になって覗いてくる人がいます。
※女湯や混浴も窓は常時開いたままですが、絶対に覗いたりしてはいけません。
入浴するつもりもないのに周りをうろついたり、疑われるような行為は止めましょう。
4.寝転がって休憩が最高に気持ちよい
先客のおじさんに倣い、床に寝そべってのんびりと過ごしました。
窓から吹き込んでくる爽やかな風が火照った体にとても心地よく、思わずそのまま寝入ってしまいそうなほどの気持ち良さでした。
恐山の参拝(地獄めぐり)

温泉で体を清めたら、いざ参拝(地獄めぐり)へ。
恐山の境内には、1周約3kmの参拝コースがあります。
多少上り下りがありますが、およそ40分で一周することが出来ます。

山門をくぐってすぐ左手にある角塔婆の群。
中には5mほどになるものもあります。
これほど大きなものは全国的に見てもかなり珍しいそうで、この一角だけでも相当異様な雰囲気が醸し出されています。

まずは無間地獄を進みます。
硫黄の匂いが漂ってきて、そこかしこに噴気孔が見られます。
荒涼としているという点では、この前に立ち寄った河原毛地獄と同じですが、人為的に積まれた石のせいで、さらに異質な空間が広がっています。
恐山の山内には、全部で108つの地獄があるそうで、私はこの他に血の池地獄、塩屋地獄、賭博地獄、重罪地獄、どうや地獄、金堀地獄、修羅王地獄と巡りました。

人はみなそれぞれ悲しき過去を持ちて賽の河原にて小石積みたり
恐山は水子の供養としても有名です。
幼くして死んだ子は親不孝者とされ、その罪の報いのために、賽の河原で石を積んで塔を造ろうとするのですが、あと少しというところで地獄の鬼がやってきて崩してしまいます。
そんな子供の代わりに、親が石を積むのです。
また、恐山ではいたるところで風車を見かけますが、これは亡くなった子供が地獄でも遊べるようにと供えているそうです。
極楽浜


賽の河原を抜けた先には宇曽利湖(うそりこ)があり、その湖畔は極楽浜と呼ばれています。
ここにも供養のための花やお供え物が置いてあります。
地獄めぐりをしている間にどんどんと暗い気持ちになっていってしまいましたが、最後にこんな美しい景色を見ることが出来て本当に良かったです。

エメラルドグリーンの透き通った湖がきらきらと太陽の光を反射しています。
まさに極楽浄土、天国を思わせるような絶景です。

ここに来るまでに様々な想いが駆け巡っていたからでしょうか。
あまりの美しさにしばらくその場から動けなくなってしまいました。
恐山で感じたこと
前述したように、私はもともと信仰心も厚くなく、ここの温泉も「観光ついでに温泉も無料で入れるなんてお得だな」くらいにしか考えていませんでした。
しかし、私のようにただの観光気分で訪れる人もいれば、拭いきれない悲しみを抱えながら救いを求めてやってくる人もいます。
実際に境内を歩いている間にも、卒塔婆や風車を手に歩く人たちの姿をたくさん見かけました。
恐山のある下北地方では「人は死ねば(魂は)お山(恐山)さ行ぐ」という言い伝えがあります。
果たして、人の魂は本当に恐山にやってくるのでしょうか?
私には見えないけれど、霊感のある人にはたくさんの霊が漂っているのが見えるのでしょうか?
人は誰しもいつかは亡くなります。
人に限らず、すべての生き物は誕生した瞬間から死に向かっています。
私は今回、恐山を訪れたことによって、普段あまり意識することのない死という存在を身近に感じ、今日という日をより良く生きていこうと改めて思うことが出来ました。

恐山は温泉好きにも、絶景好きにも、霊的スポット好きにも、もちろん慰霊目的の人にも、全ての人におすすめしたい場所でした。
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