職業訓練生活も3ヶ月を過ぎ、製図・2次元CAD・3次元CAD・3Dプリンターまでの項目が終了しました。
そこで今回は、職業訓練「CADものづくりサポート科」を現在受講中の筆者が、
- 実際にどんなスキルが身につくの?
- 何か仕事に役立つ資格は取れるの?
- 本当に就職に繋がるの?
といった疑問について、職業訓練を検討中の方や、「CADものづくりサポート科」を詳しく知りたい方に向けて、実際に授業で習った内容を解説しつつ、丁寧に答えていきます。
「CADものづくりサポート科」で学べる内容は幅広いので、全部で3つの記事にまとめました。
その他の授業内容はこちらの記事を参考にしてください。
職業訓練「CADものづくりサポート科」の授業内容を徹底解説!中編
職業訓練「CADものづくりサポート科」の授業内容を徹底解説!後編
職業訓練ってなんなの?という方はまずこちらの記事へ
↓↓↓↓↓↓
追記
職業訓練を無事卒業したので、気になるその後の就職状況などを以下の記事にまとめました。
CADものづくりサポート科とは?
機械製図を理解し、設計補助業務のためのCADによる図面の編集や修正ができること。また、ものづくり製造業の生産管理・品質管理業務を理解し、NC工作機械などによる加工作業のサポート業務ができる技術及び関連知識の習得を目標とします。
引用:CADものづくりサポート科
文章による説明だけでは、いまいちどんなことをやるのかよく分からないですよね。
「CADものづくりサポート科」の紹介動画もあるのでぜひご覧ください。
私は現在、「CADものづくりサポート科」の受講内容のほぼ半分を占める「CAD」についての授業が終了したところです。
「CAD」とは、従来人の手によって製作されていた設計図を、パソコンを使用して作図できるようにしたシステムのことです。
土木、建築、家具・インテリア、アパレル・ジュエリー、福祉、その他にも幅広い分野で使われている技術です。
今あなたが見ているそのスマホや、耳にハメているイヤフォン、その他身の回りにある、ありとあらゆるものが「CAD」を使って設計されています。
CADものづくりサポート科の授業内容【前編】
【第3回】「ものづくりサポート科」の訓練スケジュールと1日の流れについてという記事でも書きましたが、私が受講している科では、全部で13もの項目に分かれて授業が行われます。
今回紹介するのは、そのうちの前半部分、製図・2次元CAD・3次元CAD・3Dプリンターについてです。
製図
製図の授業は60時間、日数にして10日間が割り当てられています。
主に先生がテキストを読みながら解説していき、受講生は各自で重要なところにマーカーを引いたり、注釈を加えたりしながら進んでいきます。
製図の時間に使ったテキストはこちらです。
色んな分野でそれぞれの規格・製図の方法がありますが、CADものづくりサポート科で習えるのは「機械製図」についてです。
全部で404ページもあるこの分厚いテキストを、たった10日間で全て習得するのは不可能なので、その後に控えている2次元CADの授業に関わってくる項目を中心に習います。
上に挙げたひとつの項目の説明が終わるにつれて、カッコの穴埋め問題や、簡単な図形の記入問題などを配られて、各自で取り組みます。
文章だけではイメージが沸きにくいと思うので、いくつかサンプルを載せておきます。
特に三面図・断面図のイメージがうまくつかめないと、この先のCADでの製図にかなり苦戦します。
2次元CAD
2次元CADの授業は102時間、途中にGWの長期休暇を挟みますが、およそ1か月間が割り当てられています。
2次元CADの授業からは、いよいよパソコンを使った操作です。
一人あたり2台のモニターがあり、左側が自分用で、右側が先生のパソコンと繋がっています。
右側のモニターで先生の説明を確認しつつ、左側の自分のモニターで実際に作業をしていきます。
職業訓練で使用する2次元CADのソフトは、日本の会社で95%以上の導入率を誇る「AUTOCAD」です。
実際の現場でも使っているソフトで学べるので、就職後も戸惑うことなく作業が出来そうだと思いました!
ちなみにこの「AUTOCAD」、普通にダウンロードして使用すると年間7万円以上かかりますが、職業訓練に通えば、1年間、無料で使える訓練生用IDを貰えて、自宅のパソコンでも使用できるようになります。
製図の時間よりさらに問題に取り組む時間が多く取られ、最後の一週間はほぼ自習で、分からないところは各自で先生に質問するというスタイルでした。
個人の努力もありますが、物の形を頭の中に思い描いて色んな角度から見るというのは、向き不向きもあるようで、受講生の間で技術の習得度、図面を描くスピードの差がかなり出てきました。
早い人はどんどん難しい問題に取り組んでいき、最終的にはCADトレース技能審査中級の問題を一日に2つ解くレベルにまでなりました。
うまく描けない人は、先生に教わりながら、一日がかりでなんとか初級の問題をひとつ解くのが精いっぱいという状況でした。
「中央職業能力開発協会」でも試験の内容を公開しているので、どの程度習得できるのかの参考にしてみてください。
ただし、職業訓練で取り組んでいた「CADトレース技能審査」は平成29年で終了しています!
現在は2次元CAD利用技術者試験がそれにあたると思いますが、過去問を見る限り、トレース問題だけをやってきた私では「2次元CAD利用技術者試験」には、まるで歯が立ちませんでした。
資格を取るためのサポートは訓練校ではしてくれません!
ここから先のレベルアップは各自の自己学習にかかっています。
公式ガイドブックは試験対策にもなり、2次元CADをより理解する上でとても役にたちます。
こちらはAUTOCAD上達のためのガイドブック。
「あれ、ここどうやるんだっけ?」「こんな時はどうすれば良いかな?」など実用書としてはこちらの本が便利です!
3次元CAD
3次元CADの授業は108時間、「CADものづくりサポート科」の授業の中で一番多くの時間が割り当てられています。
3次元CADには「SOLID WORKS」というソフトを使います。
導入率は40%と、2次元CADのAUTOCADほど独占状態ではありませんが、多くの企業で使われています。
最初に座標や長さを指定してから線を描いていくAUTOCADとは違い、とりあえず大まかな図形を描いて、後から寸法や拘束をつけて図形を「完全定義(形を完全に決めること)」にしていくという違いがあり、最初は操作に戸惑いました。
しかし、2次元CADではずっと平面での線と数字のやりとりだったものが、3次元CADでは、実際に立体となって見えるのでとても面白いです!
ここでも最後の一週間ほどはほとんど自習になり、各自のペースでどんどん問題に取り組んでいきます。
2次元CADでもそうでしたが、最終的に求めている形になれば良いので、人によってどのコマンドを使うか、どういった手順で作成していくかの個性が出るので面白いです。
より効率よく、間違いのない方法を自分なりに見つけ出していくところに、ある種のゲーム攻略的な感覚を覚えました。
ある程度のコマンドを使って、いくつかの部品を作り、それを組み立てて、問題なく動くか検証してみる、というあたりで3次元CADの授業は終了となりました。
私の体感を、経験の長い飲食の世界で例えるならば、皮むき器やミキサーなど、ひと通りの調理器具の使い方を学び、簡単な家庭料理(野菜炒め・卵焼き)を出来るくらいにはなったかな?というレベルです。
「この技術でレストランのキッチンで調理が出来るか?」と聞かれたら、100%無理です!
良くて「調理に使う材料の準備」や「崩れた盛り付けを修正する」程度でしょう。
私はCADオペレーターを目指して「CADものづくりサポート科」を受講したので、正直、この程度の技術で本当に就職に繋がるのか不安でした。
面談でそのことを伝えると、「企業の方も、職業訓練でどの程度の技術を習得できるのかは分かっていて、簡単な図面の修正などから始めるはずなので心配ないですよ」と言われました。
いや、それはあくまで「就職後の話」であって、私が気になるのは「就職できるのか?」というところなんだけど…。
3次元CADにも、「3次元CAD利用技術者試験 」というものがありますが、2次元CAD同様、「CADものづくりサポート科」では、この試験のためのサポートは行っていません。
ここから先は3次元CADで図面を描く授業はないので、3次元CADの技術は自己学習で進めて行かなくてはいけません。
公式ガイドブックは試験対策にもなり、3次元CADをより身につける上でとても役にたちます。
SOLID WORKSの操作上達にはこちらの本が役立ちます。
モデリングのやり方などが丁寧に書かれていて、完成データをダウンロードできるので、答え合わせもすぐに出来ます。
3Dプリンター
3Dプリンターの授業は54時間、3次元CADの延長のような授業です。
訓練校にはFlash ForgeのCreater pro3が3台あり、受講生がデザインしたモデルを実際に造形物として仕上げていきます。
それぞれ自分の作りたいものを作るために、今まで培った技術を総動員して、精一杯デザインしていました。
お互いにアドバイスし合ったり、出来上がった造形物を褒め合ったりして、みんな一番楽しそうにしていたのはこの授業のときでした。
子供のためにアンパンマンを作る人や、アニメの推しキャラを作る人もいました。
私はハロトレ君のスマホホルダーと小さなパズルを作りました。
実際に3Dプリンターを活用している企業の部長さんを講師に招いての授業もありました。
主に3Dプリンターの造形手法による仕上がりの違いや、失敗が少ないデザインの方法、時間を短縮する方法などを学びました。
この部長さん、ちょっと面白い人で、3Dプリンターに関係ない話もたくさんしてくれたので、受講生たちに特に反応の良かった話を紹介します。
どんなに良い会社に就職したとしても、いつかサラリーマン人生というのは終わりが来ます。
定年後の事業をどうするか、現金を手に入れるアイデアを今のうちから考えておきましょう!
早い話、副業の勧めでした。笑
部長さん自身も3Dプリンターを活用しながらばんばん副業をしているようで、安くておすすめの3Dプリンターや、出品先としておすすめのアプリなどをいくつも教えてくれました。
全然知らなかったのですが、今や3Dプリンターというのは、安いものは2~3万円で買えるんですね!
「自分で一からデザインして作り上げたものが、売れる!
こんな素晴らしいことを、君たちはもう出来る力が十分にあるんだ!」
と何度も力説してくれました。
部長さんがおすすめしてくれた、個人でも買える範囲の3Dプリンターをいくつか載せておきます。
「CADスキルが無いと…」なんて考える人もいるかも知れませんが、今は無料で落とせる3Dデータなんかもあり、それを自宅の3Dプリンターで造形して販売している人なんかもいるそうです。
↓3Dデータを無料でダウンロードできるサイト↓
販売先はメルカリやminne、STORESなどです。
minneSTORESCADものづくりサポート科の授業内容【前編】まとめ
「CADものづくりサポート科」で学べる内容について、製図・2次元CAD・3次元CAD・3Dプリンターに分けてそれぞれ解説してきました。
本記事の内容をまとめると以下のようになります。
今後は品質管理や工場の機械操作の授業がメインになってきます。
CAD技術は自己学習で進めながら、ものづくり全体の流れ、必要知識の取得に励みます!
CADものづくりサポート科の受講を考えている人へ
正直言って、私は職業訓練のコースを間違えたのではないかと感じています。
私はCADオペレーターを目指してこの科を受講しましたが、求職票を見る限り、今の私のCADレベルでは応募できる求人が見つかりませんでした。
より確実に就職に繋げるなら、需要の多いプログラミングの技術を身につけた方が良かったかなと少し思っています。
追記
【第14回】職業訓練生のその後の進路は?就職しないとどうなる?
卒業後にまとめた上記の記事でも詳しく書きましたが、「CADものづくりサポート科」ははっきり言って就職には全く向かないコースです。
「ものづくりサポート科」を利用して、私のようにCADオペレーターやパソコン関係の仕事に就職を検討している人は、かなり困難な就活状況に追い込まれることを覚悟したうえで申し込みすることをおすすめします。
※本記事は筆者の職業訓練体験(2022年3月~9月まで)を元に書かれたものです。
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