今年も山菜採りのシーズンが始まりました。
少し田舎道をドライブすれば、道路脇などでも山菜採りを楽しんでいる人たちをよく見かけると思います。
私も雪解けのフキノトウから山菜の王様タラの芽、女王のコシアブラ、その他多くの山菜を採っては美味しく食べて楽しんでいます。
そんな山菜採りですが、実は気をつけないと違法行為になるって知っていましたか?
山菜採りが違法?!
山菜って山の中に自然に生えてるもんでしょ?勝手に採って何が悪いの?
誤った認識を持ったまま山菜採りに向かうのは大変危険です。
山菜採りは、場所や方法を間違えると「森林窃盗」や「自然公園法」の罪に問われる可能性があります。
違法の心配が一切無く、安心して山菜採りを楽しめる場所は、以下の3ヶ所だけです。
- 自分や親戚・知り合いなどが所有している土地
- 山菜採りを行っている農園・施設等
- 自治体が管理している許可区域
本記事では、【山菜採りの禁止事項と罰則】について詳しく解説していきます。
山菜採りのルールをしっかりと守って、安全に春の味覚を楽しみましょう!
山菜採りで違法になる誤った認識
他人の土地で勝手に山菜を採ると罪に問われることは、誰でも容易に想像できると思います。
しかし、一見誰の土地でもないように見える空き地や、周りに民家の無い山奥の土地はどうでしょうか?
実は、個人所有の土地でなくても、国や自治体の所有物となっているので、その中にある山菜を勝手に採ると違法になります。
国有林野の土地や樹木等は、国が管理している国有財産であり、また、国有林の多くでは、各種法令により行為制限が設けられていますので、無断でこれらの行為を行った場合は、法令に基づき罰せられることがあります。
引用元:国有林への入林:中部森林管理局 (maff.go.jp)
山って自然のものだし、誰の物でもない、もしくはみんなのものだと思ってたな。
だから山菜採りも「見つけたもん勝ち」みたいな?
少なくとも日本では、誰のものでもない土地は一切ありません。必ず土地ごとに所有者がいます。
山菜採りをする際は、その土地が誰の所有物となっているかを確認しましょう。
「自分や親戚・知り合いなどが所有している土地」以外で勝手に山菜採りを行うと、「森林法」や「自然公園法」により逮捕される可能性があります。
山菜採りにおける「森林法」の禁止事項と罰則について
第百九十七条 森林においてその産物(人工を加えたものを含む。)を窃取した者は、森林窃盗とし、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第百九十八条 森林窃盗が保安林の区域内において犯したものであるときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
引用元:森林法 | e-Gov法令検索
森林法第197条は山林で適応される法律で、対象は広く山菜だけに限らず、果物や・キノコ・鉱石などを採ってはいけません。
第198条にある「保安林」とは、水を育んだり、土砂崩れなどの災害の防止、生活環境の保全など、公益な目的を達成するために、農林水産大臣または都道府県知事によって指定された森林のことです。
参考:保安林制度:林野庁 (maff.go.jp)
ええっ?!懲役?!50万円?!
森林法を犯すと重罪なんだね…。
山菜採りにおける「自然公園法」の禁止事項と罰則について
第二十一条3 特別保護地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。
七 木竹以外の植物を採取し、若しくは損傷し、又は落葉若しくは落枝を採取すること。
第八十三条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
引用元:自然公園法 | e-Gov法令検索
自然公園法は、自然環境の保全や利用に関する規定を定めた法律で、「国立公園」や「県立自然公園」「市町村立自然公園」などがあります。
その中の「特別保護地区」では、【森林法】と同じように植物などの採取・焚火などが禁止されています。
「森林法」も「自然公園法」も要するに他人の土地のものを勝手に採ったり使うなってことですね。
山菜採りで違法にならない方法
冒頭にも書きましたが、違法の心配が一切無く、安心して山菜採りを楽しめる場所は、以下の3ヶ所だけです。
- 自分や親戚、知り合いなどが所有している土地
- 山菜採りを行っている農園・施設等
- 自治体が管理している許可区域
1.自分や親戚、知り合いなどが所有している土地
他人の土地にあるものを勝手に採るから違法になるわけで、自分や親戚・知り合いなどが所有している土地であれば、なにも問題はありません。
互いに了承済みならば、何を採ろうと、どれだけ採ろうと自由です。
2.山菜採りを行っている農園・施設等
旅館や農家さんが、山菜が生えている(または栽培している)土地で山菜採りツアーやイベントなどを行っています。
宿泊客のみが対象だったり、有料のツアー・イベントになりますが、そういう場所でなら違法になる心配がありません。
ガイドが見分け方を教えてくれたり、採りたての山菜をその場で調理して楽しんだりするものもあります。
3.自治体が管理している許可区域
一部の自治体・地域では、山菜採りを許可している場合があります。
時期やエリア・採って良い量などを制限している場合が多いので、ルールを守って楽しみましょう。
例えば、富士山の北面に広がる地域では、1人につき500円で「入会鑑礼」という許可証を交付してもらえます。
発行場所
山梨県富士吉田市上吉田5605番地3
富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合
恩賜林組合役場 1階 森林整備課
受付時間 8:30~17:00
TEL 0555-22-3355
具体的な自治体や地域については、地域の役所や観光案内所に問い合わせるのが確実です。
山菜採りをする際のマナー
山菜採りをする際の法律や罰則について詳しく解説し、違法にならない方法についても紹介しました。
しかし、実際のところは、看板で明記してあったりロープなどで区切られた土地以外では、少量の山菜採りは黙認されているのが現状です。
このような看板がある土地へは“絶対に”立ち入らないようにしましょう
少量って具体的にどのくらい?
でも違法なのは変わらないんでしょ?
個人が自分の楽しみのために、数日で消費しきるくらいの量を採っていくだけなら、まず問題になりません。
森林管理局のホームページにも「大量に採取し…」とあるように、管理団体にもよりますが、採ること自体を不可としているところはそれほど多くありません。
国有林野内において、産物(樹木、山菜を含む草本類、きのこ類、岩石及び土砂等)を無断で採取する行為は、森林窃盗等に問われることがあります。特に、山菜等を大量に採取し持ち帰る行為は、厳に慎むようお願いします。
引用元:国有林への入林:中部森林管理局 (maff.go.jp)
山菜採りが見つかってトラブルになるのは、地元の人に通報されるケースがほとんどです。
富士山の北面の地域のように、公に「入会地」と公表して「入林許可証」を交付していなくとも、前述したように、すべての土地は誰かの所有物となっています。
地元の人たちはみんなで協力し合って山を管理していて、その中で収穫できる山菜も決して根絶やしにしないよう大切に守りながら楽しんでいます。
そんな中、よそ者がずかずかと入ってきて、明らかに個人で楽しむ範疇を超えた量を収穫していれば、「なんだあいつは!根こそぎ持って行かれてしまうぞ!」と反感を買うのは必至です。
地元の人たちも、わざわざ揉め事を起こしたくはありません。
販売用にしたり、大勢に配ったりするのを疑われるような採り方でなければ、まず通報なんてされません。
「ここらへんでちょっと山菜を採りたいんですが…」などと地元の人に挨拶がてら尋ねてみれば、「どこそこのだれに聞いてみな」とか「これくらいの量で良ければ自由に採ってきな」などと返答をしていただける場合が多いです。
地元の人に話しかけるのが難しい場合には、やはり事前に地域の役所で問い合わせて、「入林許可証」を手に入れてから向かうのが良いでしょう。
森林管理の管轄エリアは非常に入り組んでおり、目的のエリアの情報を手に入れるのはとても手間がかかります。
「合法で」山菜採りを楽しみたいのなら、ツアーやイベント等に参加してしまうのが手っ取り早いです。
採ってきた山菜を販売するのは違法?
山菜の時期になると、よく道の駅や直売所で山菜が売られていますよね。
最近ではメルカリなどのネット販売サイトでもよく見かけます。
自分で採ってきた山菜を売って副業にできないかな?
山菜採りを販売するのは、きちんと許可をとれば違法になりません。
山菜採りを販売しても違法にならないケースは以下の3つです。
販売の許可を取らずに勝手に販売するのは違法です。
メルカリなどの通販サイトで販売する際には、必ず「どこの」「誰から」許可を得て販売しているかを明示しましょう。
山菜・きのこ類の採取場所にご注意ください
私有地、公有地にかかわらず、森林において山菜やきのこ採りを無許可で行うと、「森林窃盗罪」となり、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。
これらは、メルカリで禁止している「盗品など不正な経路で入手した商品」に該当するため、違反を確認した場合は取引キャンセル・商品削除・利用制限となる場合があります。
引用元:山菜・きのこ類を出品する際のご注意 – メルカリ スマホでかんたん フリマアプリ
まとめ
大好きな山菜採りの「禁止事項と罰則について」詳しく解説しました。
ポイントを分かりやすくまとめると以下のようになります。
- 誰が所有している土地なのかを確認して許可を得る
- 許可を得ずに採ると懲役3年や罰金30万円などの重罪に問われる可能性がある
- 個人で楽しむ範囲内で採る・販売用にしたいならその許可も得る
- ツアーやイベントに参加するのが手っ取り早い
自然に生えてるものでも、きちんと法律やマナーを守って楽しむことが大切なんだね!
いつまでも豊かな自然を残していけたら良いですね。
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